競馬初心者向けの馬券として単勝や複勝、ワイドが挙げられますが、競馬に慣れてきて「もう少し配当が欲しい」「堅実性と高配当を両立したい」と考えるようになったら、次に狙うべきは「馬連」と「馬単」です。
これらの馬券は、三連単ほど難解ではないものの、複勝やワイドよりも高い配当が期待できます。しかし、ただ闇雲に購入するだけでは、なかなか高回収率を達成することはできません。馬連・馬単で安定して利益を出すには、一歩進んだ「上級者向け」の戦略が必要です。
本記事では、馬連と馬単で高回収率を目指すための具体的な戦略と、軸馬の選定基準、相手選びの精度向上、そして資金配分の最適化について詳しく解説します。あなたの馬券スキルを次のレベルへ引き上げ、競馬で「勝ち組」となるための道筋を示します。
馬連と馬単の基本をおさらい
まずは、馬連と馬単の基本的なルールと特徴を再確認しておきましょう。
馬連:着順問わず2頭が2着以内に入ればOK
- 的中条件:選んだ2頭が1着と2着に入れば的中(着順は問わない)。
- 特徴:馬単よりも的中しやすいですが、その分配当は低めになる傾向があります。
- 購入点数:軸馬から相手に流す場合、相手の頭数分が購入点数となります。
例:軸馬「A」、相手「B」「C」「D」を選んだ場合、馬連は「A-B」「A-C」「A-D」の3点となります。
馬単:着順まで当てる2連単
- 的中条件:選んだ2頭が1着と2着に着順通りに入れば的中。
- 特徴:馬連よりも的中させるのは難しいですが、その分配当は高くなります。
- 購入点数:軸馬から相手に流す場合、相手の頭数分の2倍(1着-2着、2着-1着)が基本の購入点数となりますが、1着を固定して流す場合は相手の頭数分で済みます。
例:軸馬「A」が1着、相手「B」「C」「D」が2着の場合、馬単は「A→B」「A→C」「A→D」の3点。もし軸馬「A」が2着、相手「B」「C」「D」が1着も考慮するなら、「B→A」「C→A」「D→A」も加えて計6点となります。
馬連・馬単で高回収率を目指す「上級者向け」戦略
ここからが本題です。単に当てるだけでなく、高回収率を目指すための具体的な戦略を見ていきましょう。
1. 信頼度の高い「軸馬」の選定基準を磨く
馬連・馬単は、軸馬が馬券に絡まなければ当たりません。そのため、軸馬選びの精度は高回収率に直結します。
- 「勝ち切る力」と「安定感」の両立:単勝で1着を狙えるレベルの能力を持ちながら、よほど不利がなければ掲示板を外さないような堅実性も兼ね備えている馬を選びましょう。イクイノックスのように、どんなレースでも常に上位に食い込むような絶対的な軸馬を見つけることが理想です。
- ローテーションや状態の確認:直前のローテーションに無理がないか、調教で動きが良くなっているか、馬体重に大きな変化がないかなど、馬の体調面をしっかり確認します。
- 得意な条件での出走:その馬が最も得意とするコース、距離、馬場状態での出走時が狙い目です。例えば、ディープインパクト産駒の多くが東京芝2400mで活躍するように、血統とコース適性の組み合わせも重要です。
軸馬選びについては、「競馬の「軸馬選び」のコツ|初心者でもできる堅実な軸馬の見つけ方」も参考にしてください。

2. 「相手選び」の精度を向上させる(穴馬の見極め)
高回収率を目指す上で最も重要なのが、この「相手選び」です。人気馬ばかり買っていては高配当は望めません。人気薄でも馬券に絡む可能性のある「穴馬」を見極める力が求められます。
- 隠れた好走条件を見つける:
- 前走不利があった馬:能力はあるが、レース中に不利を受けて着順を落とした馬。
- コース替わり、距離替わりでの激変:得意なコースや距離に変わることで、能力が全開になる馬。
- 叩き2戦目以降の馬:休み明けで一度レースを使い、馬体が絞れて能力を発揮しやすくなった馬。コントレイルのような実績馬も、休み明けは様子見が必要な場合があります。
- 斤量減、または騎手強化:斤量が軽くなる、または武豊騎手や川田将雅騎手のようなトップジョッキーに乗り替わることで、パフォーマンスが向上する馬。
- 人気薄でも得意な馬場状態:雨などで馬場が悪化した際、道悪得意な馬が突然浮上することがあります。
- 消去法も活用する:人気上位馬の中に、不安要素(ローテーション、調教、適性外など)を抱える馬がいないかを見極め、消去することで、相対的に穴馬のチャンスが広がります。
3. 「荒れるレース」と「堅いレース」の見極め
馬連・馬単で高回収率を狙うには、レース選びも重要です。全てのレースで高配当を狙えるわけではありません。
- 堅いレース:少頭数、圧倒的な能力を持つ軸馬がいる、上位人気で決着しそうなレースでは、馬連でも配当は低くなりがちです。この場合は、無理に手広く買わず、点数を絞るか、見送る選択も必要です。
- 荒れる可能性のあるレース:以下のようなレースは、穴馬が絡みやすく、馬連・馬単でも高配当を期待できます。
- フルゲートの多頭数レース:混戦になりやすく、不利も発生しやすい。
- ハンデ戦:斤量差によって波乱が起きやすい。
- キャリアの浅い馬が多いレース:未勝利戦や新馬戦など、能力が未知数な部分が多く、思わぬ馬が好走することも。
- 重馬場・不良馬場:馬場適性が問われるため、人気馬が沈む可能性も。
例えば、過去にテイエムオペラオーが出走したレースのように、圧倒的な存在がいる場合は堅い決着になりやすいですが、有馬記念のような舞台では、常に波乱の可能性を秘めています。
4. 馬連と馬単の使い分け:ケース別の選択術
馬連と馬単は、似て非なる馬券です。それぞれの特性を理解し、レースの状況や予想の確信度に応じて使い分けることが、回収率向上への鍵となります。
馬連を選択すべきケース:的中率を重視しつつ配当も狙いたい時
- 軸馬が堅いが、相手が絞りきれない場合:軸馬は信頼できるが、2着に来る馬が複数頭候補にいて、順位まで読むのが難しい場合。例えば、イクイノックスが盤石の軸だが、相手が混戦で2着争いが熾烈なG1レースなどです。馬連であれば、着順を問わないため、的中範囲が広がります。
- 波乱が予想されるが、狙い馬が複数いる場合:どの馬が1着になってもおかしくない混戦レースで、堅い軸が見当たらないものの、気になる馬が2〜3頭いる場合。この場合、選んだ馬同士が2着以内に入れば良い馬連は、比較的当たりやすい選択肢となります。
- 配当妙味がそこそこあれば十分と考える時:極端な高配当を求めず、そこそこの払い戻しで満足できる場合。特に、人気サイドでの決着が予想されるが、相手に少しだけ穴馬を含ませたい場合に有効です。
例:軸馬リバティアイランドは堅いが、2着にくるのがスターズオンアースなのか、それともドウデュースなのか判断が難しい。この場合、リバティアイランドからスターズオンアースとドウデュースへの馬連2点買いは、着順不問で的中を狙いやすい選択です。
馬単を選択すべきケース:高配当を狙いたい、1着が明確な時
- 軸馬が「勝ち切る」と確信できる場合:軸馬が圧倒的な能力を持ち、よほどの不利がなければ1着を獲れると強く確信できるレース。アーモンドアイが人気を集めるようなレースで、他に勝ち馬候補が見当たらない場合などです。この場合、1着固定で馬単を購入することで、馬連よりも高い配当が期待できます。
- 先行馬など、展開的に1着が有力視される馬がいる場合:逃げ・先行馬で、今回のメンバー構成やペースなら楽に逃げ切れる、あるいは押し切れると判断できる場合。例えば、タイトルホルダーのような強力な逃げ馬が、他に行く馬が少ないメンバー構成のレースに出るようなケースです。
- 少点数で大きなリターンを狙いたい時:自信のある軸馬から、配当妙味のある相手に絞って購入することで、最小限の点数で高配当を狙うことができます。
例:武豊騎手騎乗のドウデュースが、このレースでは他馬より頭一つ抜けており、間違いなく1着に来ると断言できる。相手は混戦だが、何頭かに絞って馬単の1着固定で狙う。この場合、当たる確率は下がりますが、的中した際の配当は馬連よりも大きく跳ね上がります。
5. 資金配分の最適化
購入点数が増えすぎると、当たってもトリガミ(回収率が100%を下回ること)になるリスクが高まります。回収率を上げるためには、資金配分も重要です。
- メリハリをつけた購入:自信のある組み合わせには厚く、自信のない組み合わせには薄く、とメリハリをつけましょう。
- 購入点数の限定:あらかじめ「馬連は最大〇点まで」「馬単は最大〇点まで」と決めておくことで、無駄な買い目を減らせます。
馬連・馬単の高回収率成功事例(仮想)
架空の例ですが、具体的なイメージを持っていただくために成功事例を挙げます。
レース:2025年 阪神芝1600m GIII エニフステークス
予想プロセス:
- 軸馬選定(A馬):人気は中穴だが、前走は不利があり参考外。2走前は同条件で優秀なタイムを記録。今回は得意の阪神マイルに替わり、川田将雅騎手が久々に騎乗で勝負気配。調教も抜群の動きで、絶好調と判断。
- 相手選定(B馬、C馬):
- B馬:人気薄だが、この馬場ならパフォーマンスが上がる血統。前走は得意ではないコースで力を出し切れなかったが、今回は条件好転。
- C馬:上位人気の一角だが、最近のレースで少し詰めが甘い印象。ただし能力は高く、2着には残る可能性も十分。
- 馬券構成:
- **A馬が勝ち切ると判断し、馬単に重点を置く**
- 軸A → 相手B (馬単の厚め)
- 軸A → 相手C (馬単の普通)
- ※念のため、軸A-相手B、軸A-相手Cの馬連も押さえる(馬単が本線のため金額は薄め)
結果: A馬が1着、B馬が2着で入線。
A馬-B馬の馬単が100倍、馬連が50倍という高配当に。
このように、単に人気馬を組み合わせるだけでなく、自身の分析で浮上した穴馬を的確に相手に加えることで、高回収率を狙うことができます。
まとめ:馬連・馬単を極め、競馬上級者への階段を上ろう!
馬連と馬単は、その奥深さゆえに、初心者から上級者へのステップアップに最適な馬券です。堅実な軸馬選びと、光る穴馬を見つけ出す相手選びの精度を向上させることで、高回収率を安定して叩き出すことが可能になります。
そして、最も重要なのは、馬連と馬単それぞれの特性を理解し、レースの状況やあなたの予想の確信度に応じて賢く使い分けることです。勝ち切れると確信すれば馬単で高配当を、相手が混戦なら馬連で堅実さを、と柔軟に対応することで、回収率は大きく向上するでしょう。
焦らず、一つ一つのレースで戦略を練り、購入点数を抑えつつメリハリをつけた資金配分を心がけましょう。これらの戦略を継続的に実践することで、あなたはきっと、馬連・馬単で利益を出せる「競馬上級者」の仲間入りができるはずです。
さあ、今日から馬連・馬単の奥深さを追求し、あなたの競馬ライフを次のステージへと進めましょう!