簡単な概要と歴史
札幌記念は1965年に創設された伝統あるG2レースで、2025年で第61回を迎えます。札幌競馬場芝2000mで行われる3歳以上の定量戦で、サマー2000シリーズの中核を担う重要な一戦として位置付けられています。夏競馬で唯一のG2レースとして、秋のG1戦線を見据えたスターホースと、サマーシリーズを転戦する実力馬が激突する大一番です。過去には後にG1を制覇する多くの名馬がこのレースから飛躍を遂げており、秋の大レースの前哨戦としても注目度の高いレースとなっています。
今年の注目ポイント
2025年の札幌記念は、予想1番人気のホウオウビスケッツ(4.0倍)と2番人気のステレンボッシュ(5.6倍)を筆頭に、実力馬が多数集結しています。特に注目すべきは、昨年の桜花賞馬で唯一のG1勝ち馬であるステレンボッシュと、大阪杯5着以来の出走となるホウオウビスケッツの対戦です。また、今年の函館記念を制したヴェローチェエラ、セレクトセールで5億1000万円の高値となったショウナンアデイブなど、多彩な顔触れが揃っています。現時点で18頭が登録予定となっており、例年以上に充実したメンバーが集まっています。
荒れやすさとその理由
札幌記念の最大の特徴は1番人気の連敗記録です。JRA公式データによると、過去10年で1番人気は0勝となっており、現在13連敗中という驚くべき記録を持っています。最後に1番人気が勝ったのは2011年のトーセンジョーダンで、それ以降は2番人気から5番人気の馬が勝利を収めています。この現象の主な理由として、以下の要因が挙げられます:
- 休み明けの叩き台的な使い方:G1級の実力馬が秋に向けての調整戦として臨むケースが多い
- 多彩な臨戦過程:前走レースがバラバラで能力比較が困難
- 馬場状態の影響:開催終盤で馬場が荒れやすく、能力通りの結果が出にくい
- 洋芝の特殊性:札幌競馬場の洋芝は他の競馬場と異なる特性を持つ
人気馬の勝利傾向
過去10年のデータを分析すると、1番人気こそ勝てていませんが、上位人気馬の馬券絡み率は高い傾向にあります。具体的には:
- 1番人気:0勝3連対3着内(複勝率60.0%)
- 2番人気:4勝1連対0着内(勝率40.0%、連対率50.0%)
- 3番人気:2勝1連対0着内(勝率20.0%)
- 4番人気:0勝1連対5着内(勝率0%、3着内率60.0%)
- 5番人気:3勝0連対1着内(勝率30.0%)
馬券に絡んだ延べ30頭のうち、1番人気から5番人気までの馬が24頭を占めており、全体の80%が上位人気から輩出されています。7番人気以下の人気薄は複勝率わずか6%と低調で、基本的には上位人気馬を中心とした馬券構成が有効です。
枠番ごとの勝利傾向
札幌記念の枠番データは非常に特徴的で、内枠の優位性が顕著に表れています:
- 1枠:4勝0連対2着内(勝率30.8%、3着内率46.2%)
- 2枠:1勝4連対0着内(3着内率33.3%)
- 3枠:0勝2連対2着内(3着内率26.7%)
- 4枠以降:成績が急激に悪化
特筆すべきは、1枠から3枠の馬が馬券に絡まなかったことが過去10年で一度しかなかったという事実です。札幌芝2000mは直線が約270mと短く、高低差がほとんどない平坦な小回りコースのため、内枠からのロスのない競馬が重要となります。軸馬選択の際は1枠から3枠に入った馬を最優先に考えるべきでしょう。
騎手ごとの勝利傾向
過去10年の騎手成績を見ると、特定の騎手の活躍が目立っています:
- 川田将雅騎手:2勝で最多勝利、連対数・3着内数も最多
- 藤岡佑介騎手:2022年ジャックドールで勝利
- 岩田康誠騎手:2024年ノースブリッジで勝利
- 横山典弘騎手:過去5年で勝利経験あり
川田騎手は【3-0-1-1】と極めて安定した成績を残していますが、2025年は騎乗予定がありません。他の騎手については明確な傾向は見られないため、騎手よりも馬の能力や適性を重視すべきレースと言えます。
年齢や性別ごとの勝利傾向
年齢・性別データでは以下の傾向が見られます:
- 4歳馬:最も勝利数が多く、充実期の馬が活躍
- 5歳馬:安定した成績を残す
- 6歳以上:実績馬による逆転も十分あり得る
- 牝馬:2021年のソダシのように、能力があれば性別は関係なし
定量戦のため、牝馬には2kg減量の恩恵があり、近年は牝馬の活躍も目立っています。年齢よりも現在の状態と適性を重視すべきレースです。
血統から見る有利な馬
札幌競馬場芝2000mの血統傾向では、以下の血統が好成績を残しています:
種牡馬系統:
- ディープインパクト系:芝2000mで安定した成績
- キングカメハメハ系:延べ11頭出走で「1-2-1-7」と好走率が高い
- ハーツクライ系:コース適性が高い
母父系統:
- キングカメハメハ:母父として連対率が高い
- ディープインパクト:牡馬で特に好成績
- スペシャルウィーク:安定した成績
洋芝適性とパワータイプの血統が重要で、特にキングカメハメハとディープインパクトの血を持つ馬は要注目です。
コースの特性と有利な脚質
札幌競馬場芝2000mの特徴:
- 右回りコース:直線約270mと短い
- 平坦コース:高低差がほとんどなく、スタミナよりパワーが重要
- 小回りコース:内枠有利、器用な馬が有利
- 洋芝:欧州系の緑が鮮やかな芝で、パワータイプの血統が好走
有利な脚質:
- 先行馬:直線が短いため、前目の競馬が有利
- 差し馬:直線が短いため、極端な後方待機は不利
- 逃げ馬:小回りコースで息の入る箇所があり、逃げ切りも可能
過去の勝利馬の特徴
過去10年の優勝馬の共通点を分析すると、以下の特徴が浮かび上がります:
- G2以上の勝利実績を持つ馬が多い(過去7年の勝ち馬すべて)
- 前走がG1レースの馬が多い(7頭中6頭)
- 2番人気から5番人気の馬が多い(1番人気は0勝)
- 内枠(1-3枠)に入った馬が多い
- 定量戦での実績がある馬
- 洋芝での実績がある馬
- 前走で好走していなくても、実績がある馬は巻き返し可能
- 休み明けでも実力があれば結果を出せる
過去の敗退馬の特徴
過去10年で馬券圏外に敗れた馬の共通点:
- 条件クラスやオープン特別からの臨戦馬(過去10年で0勝)
- 前走で1.0秒以上の大敗をした馬
- 7番人気以下の人気薄(複勝率6%と低調)
- 4枠以降の外枠に入った馬(特に8枠は成績が悪い)
- 初回転戦の馬(札幌競馬場未経験馬は苦戦傾向)
- 短距離専門の馬(2000mの距離適性が重要)
- ダート実績しかない馬
- 函館記念好走からの連続出走馬(函館記念3着内→札幌記念は苦戦データあり)
このレースで活躍できそうな馬
1. ホウオウビスケッツ
注目理由:
- 予想1番人気だが、1番人気ジンクスを破る可能性
- 昨年天皇賞・秋3着、大阪杯5着と実績十分
- 洋芝での実績があり、札幌競馬場適性が高い
- 休み明けでも能力の高さで対応可能
- 定量戦での実績もある
2. ステレンボッシュ
注目理由:
- 唯一のG1勝ち馬(2024年桜花賞)
- 牝馬で2kg減量の恩恵を受ける
- 池添謙一騎手との新コンビに期待
- 前走ヴィクトリアマイル8着から巻き返しを狙う
- G1級の実力は疑いなし
このレースで活躍が難しい馬
1. アルナシーム
苦戦理由:
- 函館記念6着から連続出走のローテーション
- 函館記念好走馬の札幌記念苦戦データに該当
- 前走の着順が振るわず、上積みが期待しにくい
- 年齢的にも6歳と衰えが心配される
2. ショウナンアデイブ
苦戦理由:
- セレクトセール5.1億円の高額馬だが、重賞未勝利
- 前走函館記念13着と大敗しており、状態面に不安
- 6歳馬で今後の成長が期待しにくい
- 札幌競馬場での実績が乏しい
まとめ
2025年の札幌記念は、1番人気ジンクス継続の可能性が高く、2番人気から5番人気の馬を中心とした馬券構成が基本戦略となります。特に内枠(1-3枠)に入った実績馬を軸に、G2以上の勝利実績を持つ馬を中心に組み立てるのが王道でしょう。
予想の核心はホウオウビスケッツとステレンボッシュの2頭ですが、1番人気になりそうなホウオウビスケッツよりも、2番人気のステレンボッシュの方が過去のデータ的には有利と言えます。ただし、どちらも内枠に入れば十分にチャンスがあるでしょう。
穴馬としては、実績はあるが前走で凡走した馬や内枠に入った中穴馬に注目すべきです。馬券は馬連・3連複での勝負が堅実で、3連単での高配当も狙える波乱含みのレースとなりそうです。
札幌の洋芝という特殊な舞台で、果たして1番人気ジンクスは継続するのか、それとも破られるのか。北の大地を舞台にした夏の一大決戦に注目です。
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